通信制大学で学んで卒業を目指すと言うことは、言ってみれば長丁場のプロジェクトを完遂するということです。
しかし実際のところ、入学した人のうち、卒業までこぎ着ける人は全体のそれほど多くを占めるわけではないそうです。
教員の方の話によると、挫折してしまうのは自宅でコツコツ課題を仕上げたり勉強する、「テキスト科目」と言われる教科が進まないことがきっかけになるケースが多いそうです。
何をいつまでにやれば良いかを把握して、コツコツ進めれば良いのですが、人間はどうしてもずるずるとサボってしまいがちです。一旦サボってしまうと遅れを取り戻すのにどれくらい掛かるか分からず、現実を知るのが恐ろしくなって余計におっくうになるという悪循環にハマりがちです。
筆者の学んでいるコースでは、入学時のガイダンスや[スターター]と呼ばれるスクーリングの授業で、1学年を春夏秋冬の4期に分けて、それぞれの期にどんな科目に取り組むかを表に記入するようにいわれるので、おおまかにはその時その時でやるべき事は把握できるのですが、この表だけでは粒度が荒すぎて、ついつい日々の勉強や製作がおろそかになってしまいます。
そこで、筆者はレポートの進捗管理にガントチャートを使っています。
ガントチャートとは、プロジェクト管理に使う、横軸に時間、縦軸にやるべきタスクを記し、どのタスクをどの期間に実施するかを一覧できる表です。線表とか工程表とか言ったりもします。 大きめの規模の工事現場に貼りだしてあったりするので見たことがある方もあるかと思います。
ガントチャートを作るには、紙に書いたり、エクセルなどの表計算ソフトを使う方法もありますが、紙だと計画を変更する必要が出てきたとき(しょっちゅう出てきます)に修正が面倒だったり、表計算ソフトでも専用のソフトではないため、遅れ具合を定量的に把握できなかったりします。
そこで、専用のWebサービス「BRABIO」を使っています。
BRABIOは登録メンバー数が5名までならずっと無料で使い続けることが出来ます。登録するプロジェクト数には制限がありますが、今回のような用途では1つで十分だと考えられます。
brabio30 from brabioweb on Vimeo.
ガントチャートを用いたプロジェクト管理
タスクは出来るだけ細かく
ガントチャートを用いたプロジェクト管理の欠点として、「学生症候群」というものがあります。 これは、
納期のある作業を行う際に、余裕時間があればあるほど、実際に作業を開始する時期を遅らせてしまうという、多くの人間に見られる心理的行動特性のこと。
学生症候群(がくせいしょうこうぐん) - ITmedia エンタープライズ
ということです。心当たりのある方もいらっしゃるかと思います。
筆者の働くIT業界ではガントチャートを用いたプロジェクト管理手法には批判も多いです。それは作業の定義があいまいなため、タスクの粒度が低い(おおまかなものになる)ものになりがちで、これが学生症候群の原因となりがちなためです。
その点、テキスト科目の学習というのはテキストの何ページから何ページ、課題の○番目、といったようにタスクの定義が明確かつ細かく分割できます。細かく分割する、つまり○月×日にこれをやる、と決めたら、やったのか、やらなかったのか、二つに一つしかありません。
したがって余裕時間は存在しなくなるので、必然的に学生症候群は防ぐことが出来ます。
ただ、学年が進むにつれて、卒業制作に代表されるような、自由度の高い教科が増えてくることが予想されます。
自由度が高いと言うことはスケジューリングはそれだけ難しくなると言うことでもあります。
最初のうちからタスクベースのスケジューリングになれることで、タスクの定義・分割の仕方を修得すれば、こうしたプロジェクトにも対応できるようになるのでは無いかと思います。
下図は「図形ドリル」「建築ドリル」の課題の場合のタスク設定例です。
「担当状況」 ビューを活用する 〜タスクの集中を防ぐ〜
レポートなどの提出物の〆切が各季の終わりに集中するため、複数の教科を並行して進めていくことになるわけですが、それぞれの教科でタスクを登録して期日を決めていくと、期せずして特定の日にタスクが集中してしまいがちです。
BRABIOには「担当状況」という画面があり、1日当たりのタスクの量を棒グラフで見渡すことが出来ます。ちょっと目立たないのですが、画面の上の方にある「担当状況」という小さなボタンを押して切り替えます。
この機能を使うためには、タスクの登録時に、担当者(あなたです)をタスクと結びつける操作が必要です。担当者の登録操作は少々面倒ですが、「担当状況」機能はとても役に立つのでぜひ行いましょう。
家族の予定や本業の予定もいれておく
通信教育の場合、どうしても週末や祝日にタスクを消化することが多くなってしまいます。
ところが、子どもの運動会などの家族の行事や、接待ゴルフなど、休日にはほかのことに時間を割く必要もあるかと思います。時間がかかる出来事はすべてタスクとして登録して、担当者を登録しましょう。思わぬバッティングを防ぐことは出来ます。
タスクはグループ化しよう
教科毎にタスクをグループ化するようにしましょう。 グループ化すると、グループ化されたタスクの定義や順番はそのままに、グループに属するタスクを丸ごと動かすことが出来ます。春に受けるつもりだった教科を秋に移動させたり、といったことが簡単にできます。
また、グループ毎の達成率も表示してくれます。進捗の目安になるのでとても便利です。
毎日確認して適宜見なおす
計画通り進んでいても(進んでいなければなおさら)、毎日のようにガントチャートを確認して、適宜見なおしましょう。想定したより時間が掛かる課題があったり、拍子抜けするほど簡単にできた課題があったり、想定外の予定が入ったりすると思います。変更が容易であるのがパソコン上でガントチャートを管理する強みです。こまめに見なおして変更しましょう。
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